知らない間に資産が減る!?インフレリスクの罠
今回は、インフレリスクについてお伝えします。
前回、老後に向けた資産形成の考え方をお話ししましたが今回は老後、つまり長期的な資産形成をする際に必ず必要になるのがインフレリスクという考え方です。
↓前回記事はこちらをご覧ください。↓
インフレとは
インフレ(インフレーション)とは、簡単に言うと物価の上昇です。つまり物の値段が上がっていくということです。現在、政府や日銀はこの物価上昇率を年2%を目標にしています。統計局の発表によると昨年2019年の消費者物価指数(CPI)は0.5となっています。2018年の1.0よりは下がっていますが、確実に物価が上がっているということです。なかなか2%の目標をクリアすることはできていないですが現在でもこの目標を下方修正していないです。
物価が上がるということは今のお金の価値が下がるということです。
お金の価値が下がる?
お金の価値が下がるってどういうこと?
例えば現在100万円の貯蓄があったとします。今この100万円で車が買えたとします。
100万円=車(100万円)という式です。
これが1年後、物価が上がり車が200万円になったとします。
しかし100万円を銀行に預けておいても今は金利がほとんどつかないので1年後も同じ100万円です。
1年後には100万円<車(200万円)という式になってしまいます。
これがお金の価値の低下です。同じ価値だった100万円と車が1年後には倍の200万円ださないと車が買えません。お金の価値が半分になってしまったということです。
そもそもなぜ物価を上げようとしているのか?
答えを簡単に言うと、物価が上がれば商品を販売している企業の売り上げが上がります→すると従業員の給料が上がります→その従業員が消費行動をしやすくなる→もっと企業の売り上げが伸びる=経済が活性化され景気が良くなる!!
こんなシナリオです。
「そんなに上がっている気がしないけど・・・」確かに普段生活をしていて物価が上がっていることを実感することは少ないかもしれません。でもよく思い出してみてください。最近で言うとコーラの大きいやつ値上がりしてましたよね。これは消費税増税前の駆け込み値上げでした。すべてのものが一律に値上がりしているわけではないので実感しにくいですが確実に物価の上昇は起こっています。
値上がりしていないけど物価が上がっている??
日本人だからかどうかはわかりませんが、ほんの10円値上げをしただけでもみんな買わなくなるんですね。これで消費税導入の時に企業は痛い目を食いました。そのため、日本の企業は大変な努力をしています。
値段を上げずに値段を上げる方法
これだけ見ると意味わかりませんが、つまり値段はそのままで容量を減らすという手法があります。例えばヨーグルトや牛乳です。「昔はヨーグルトの大きい容器500ml入りだったのに今は450mlになってる」とか「牛乳1000mlだったのが900mlになってる」と思ったことありませんか?
我が家では嫁はヨーグルト好き、私は牛乳好き(1日1本ペースで飲んでます笑)なのでこれは大きな打撃だったりします。
このように消費者が気が付かないように実質的に値上げをしている場合もあります。
知らない間に生活費が上がっていく
つまり生活を変えずに同程度の生活を続けていても、少しづつ生活費が上がっていくということです。このようなインフレの状態は今回が初めてなわけではありません。
日本は失われた20年なんて言い方もされますがバブル崩壊後長い間デフレ(物価が安くなる)状態でした。この時に流行ったのが100均とか牛丼屋さんですね。
でもその前のバブルの時代は今とは比べ物にならないインフレ状態でした。しかし今と違う点はバブル期には物価の上昇と同じくらいむしろ上回るくらい給与が上がり、銀行の金利もよかったんです。
バブルを経験された方でたまにいらっしゃる方だと「養老保険最高!!」みたいな方いらっしゃいます。その時代を知らない方だと「??何言っているんだろう?養老保険なんてよくて払った金額返ってくるだけで悪いと元本割れしてるじゃん」となるのですが
昔は10年の養老保険に100万円入れると10年後に200万円になって返ってくるような時代でした。
物価が上がっていたけどそれ以上に収入や貯蓄が増えていたということです。インフレになれば本来はこうなるはずなのですが・・・
日本には別の思惑もあるんですね。
" それはインフレにして金利をできるだけ0にしておく"ということです。
物価を上げる→しかし銀行の金利などはほぼ0に張り付ける→お金の価値が下がる→国の借金が減るということです。
現在、日本の借金(国債)は1000兆円を超えています。物価が2%上がり銀行の金利も同じように2%上がるとそれだけで20兆円も借金が増えてしまいます。これでは国として破綻してもおかしくはありません。
そこで、銀行の金利はほぼ0に張り付けておきます。すると国の借金は増えません。さらにはお金の価値が下がり実質1000兆円の借金が価値として目減りしていくのです。
本来であれば、物価が上がった分、給与に還元されるはずですが、それを金利を下げたままにしていることで国の借金の返済に充てられているということです。
つまり、国民は知らない間に国の借金を返済しているということになります。
物価は上がっても金利は上がらない
このような時代がやってきています。例えば国の目標の2%が続くとしたら40年後には物価が現在の倍になっています。今と変わらない生活をするのに倍の生活費が必要ということです。しかし給料はそんなに上がらないし、銀行に預けておいても増えないのです。
お金の考え方を変えよう
資産形成で長期的に考えるうえでまず必要なのはお金の考え方を変えることです。
100万円という数字を見るのではなく、100万円というお金の価値を見る
という考え方に変化させる必要があります。今の100万円は10年後100万円の価値ではないかもしれません。銀行に預けておいてずっと100万円の記載があるから安心!ではなく今現在もこの100万円の価値は下がっています。
この100万円という価値を守るためには銀行に預けるだけではなく、物価の変動に対して対応していく必要があるのです。
銀行に預けるのがダメと言っているのではありません。
すぐに使うお金などはすぐ引き出せる銀行に預けておくべくです。
しかし、当面使う予定のない貯蓄や老後のための積み立てなどはこのお金の価値という観点をもって保有するべきです。
せっかく貯めたお金の価値が下がっているなんて絶対嫌ですよね。このインフレリスクやお金の価値を守るという視点からご自身の資産運用を見直してみてください。
次回はインフレリスクに対応するにはそうしたらいいのかという点を解説していきたいと思います。
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